何故MTGのキューブは全てのカードを1枚ずつ投入するシングルタンが主流で、遊戯王やポケモンのキューブはシングルタンじゃないのか、
それには、ゲームの性質やカードプールが大きくかかわっている。
①ゲーム性が違う。
シングルタンに向いていない理由は遊戯王やポケモンはMTGに比べてカード間のシナジーが強力であることがあげられる。
MTGでは、1枚のカードに対してアクセスできるカードは、単純なサーチカードが殆どです。
基本的なMTGのVintageのドラフトを見てみると、白に《護衛募集員》、《石鍛冶の神秘家》《土地税》青に《呪文探究者》《粗石の魔導士》《神秘の教示者》《修繕》《袖の下》《求道者テゼレット》黒の《納墓》《吸血の教示者》《伝国の玉璽》《悪魔の教示者》赤の《帝国の徴募兵》緑に《原始のタイタン》《緑の太陽の頂点》《破滅の終焉》《輪作》《耕作》《自然の要求》無色の《不屈の巡礼者ゴロス》フェッチランド各種《ウルザの物語》
などなど(数え漏れてるかもしれない)このようなサーチカードに共通する特徴はなんであろうか、 それは素引きが必要だということである。例えば《石鍛冶の神秘家》は《梅澤の十手》や《殴打頭蓋》などの装備品と一緒にピックして神秘家を手札にひいてプレイする。シナジーとしては簡単な直線的な繋がりなのである。それに、《帝国の徴募兵》はもっぱらキキジキコンボのサポートに使われる、実質的な専用カードともなりがちである。
遊戯王は《彼岸の悪鬼スカラマリオン》や《聖騎士の追想イゾルデ》のようなカードがある為シナジーの複雑度が違います。
例えば《彼岸の悪鬼スカラマリオン》
は墓地へ送れば、悪魔族闇属性レベル3を加えることが出来るサーチ能力を持っています(③の能力)。勿論このカードは、引いてきて裏側守備表示でセットして相手に戦闘破壊されることを待つという使い方で十分使えるのですが、このカードの神髄はアクセスのしやすさにあります。例えば、このカードの能力を起動するには直接デッキから墓地に送っても発動します、墓地送りできるかーどとして、《終末の騎士》《魔神童》《おろかな埋葬》《クローラー・デンドライト》《マスマティシャン》などがあります。
《終末の騎士》は《増援》《キラートマト》でサーチでき、《魔神童》は《裏風の精霊》に加え自身の効果で《彼岸の悪鬼スカラマリオン》とほぼ同じ条件でデッキから出すことが出来る。《クローラー・デンドライト》も《クローラー・ソウマ》でサーチすることが可能と、この様にカードのサーチに関して複雑なネットワークが形成されていて《彼岸の悪鬼スカラマリオン》にそのネットワークを用いてアクセスできるのは遊戯王のプールには20種類近くにもなる。そして、《彼岸の悪鬼スカラマリオン》でサーチする《破壊神ヴァサーゴ》などのカードも実質的にとてもアクセスしやすいカードとなる。
《聖騎士の追想イゾルデ》のようなカードは最早何かを手札にひく必要すらなく、何十パターンもある、戦士族を2体並べることを成功すればOKである。
特定のカードに容易にアクセス出来る複雑なシナジーを用いた遊戯王キューブでは、特定のサーチカード1枚の重みが大きくなり、1周目に毎回(人数-1)*パック数のカードが見えずに相手にとられるルールであることを考慮すると、複数枚同じカードを積んだほうが、思ったデッキを組むことが出来るから、遊戯王はシングルタンにした方がいい。
遊戯王最大の魅力の1つとして挙げられる点が、各カードへのアクセス手段の豊富さです。
アクセスしやすいということは、たった1枚のカードをデッキに加えるだけでゲームプランに大きな影響を及ぼすことが可能ということです。
つまり、構築段階の意図をゲームに反映できるようになるため、構築の楽しさと重要性が大幅に増すことを意味します。
いむな氏の ドラフト視点『アクセスのしやすさについて』より引用
akikomayugi.blog109.fc2.comhttp://archive.today/shKB2 最終閲覧日6/26
こういうゲーム性の違いにつき、プレイヤーの間の価値観も少し違います。
遊戯王はテーマデッキの特定の動きを毎回する(したい)と思う人が多く、MTGは毎回違うことをしたいという考えがあります。なので、遊戯王プレイヤーは同じカードを制限枚数入れたいが、MTGのプレイヤーは似たようなカードを散らしたいと思う傾向が強い。この思想がシングルタンか否かに表れてるのかもしれない。
(遊戯王でも複雑なシナジーを持たない素引き中心の環境を意識したキューブでは、この点では、問題なくシングルタンにすることが可能である。)
ポケモンカードがシングルタンじゃない方がいいのは、進化で戦うというルール上同名カードを沢山入れた方がいいです。(エアプ)
②MTGはセット毎のリミテッドを意識した、同型再販のようなカードが多い。
例えば対戦相手のクリーチャーを破壊する2マナの黒の妨害カードはたくさんある。
このように黒を使うメリットとしてある、「軽い除去カード」という価値の高いカードをシングルタンでも沢山プールに存在せしめることが出来る。そして、カードパワーや役割の差異は非常に小さい。なので、狙った《喪心》が流れてこなくても、同じ黒の2マナ除去である《パワー・ワード・キル》をピックすればデッキの中での役割は同じなので、問題発生しません。
同じように遊戯王で、「相手のモンスターを1枚消費で、場から消せる罠カード」を考えてみよう。すると、均質なカードは殆どないことが分かります。
シングルタンにしてしまうと、《奈落の落とし穴》がデッキに欲しかったプレイヤーは、《激流葬》を取らざるを得ない時が複数枚積めるプールの時に比べて増えます。《奈落の落とし穴》と《激流葬》はどちらも相手モンスターを除去する罠カードとして強力ですが、《激流葬》は自分のモンスターも破壊されるので、自分の手番にモンスターカードを残したいという性質のデッキでは、少し弱くなってしまうことがあります。このように、遊戯王カードは似たカードでも微妙に役割が違うのでシングルタンには向いていません。