Behind Coleus

大学生なのに特別大学で楽しいことが一 つもない。虐待と男子校病のせいにしてみる。→日本脱出しました 今ジャカルタにいます。→ジャカルタから帰ってきました。→6月19日から小笠原沖で、インドネシア人とメカジキ漁

新編 女児本シーンの拡張①

女児本シーンは広大なデザイン空間を持ち、様々な文化・技法を取り入れ拡張していった、それらを紹介していく。




 

2020年以降独特の表現
擬人化立ち絵イラスト

 

新星出版社『小学生のための楽しい勉強法(2021)』では、質問紙を使い個人の性格を4つのタイプに分けているが、その4タイプを擬人化して、「Aタイプ騎士(ナイト)タイプ」「Bタイプ賢者タイプ」「Cタイプ魔術師タイプ」「Dタイプ猛獣使いタイプ」と分類している。そして、1ページの縦をいっぱい使ってその擬人化キャラクターイラストを配置し、診断の結果とおススメの勉強法をその脇に本文として配置している。なお、そのキャラクターはそのページにしか登場しない。朝日新聞出版社『C♡SCHOOL誕生日&名前うらないBOOK and more!(2022)』でも占いの結果を「メデューサ」「キョンシー」などと分類し擬人化した表現が見られた。この表現は2020年から2022年までの女児本シーンを象徴する技法となっている。

 

過去の表現との違い
ナツメ社『おしゃれコーデ&めちゃかわヘアのルール(2013)』など旧来の女児本ではページ全体を用いたキャラクターの立ち絵イラストはコーディネートを表現するために用いられた。しかし、擬人化をしたものではなかった。また、職業をテーマにした児童書では職業を擬人化した立ち絵が用いられることもあったが、ページ全体を使ったものではなかった。

視線誘導のための擬人化?
2020年以降の立ち絵イラストは診断結果を擬人化しており、イラストが指し示す意味が非常に薄い。そのため、これはコーディネートや職業を示す立ち絵表現と異なり他のイラストに差し替えても成立する表現となっている。つまり、擬人化の表現は女児本が持つ群像的な性質をより強固にするものと言える。 この表現に意味があるとすれば目を惹くためだけにあると言えるだろう。

 

概念の擬人化表現
学研『わかる!役に立つ!法律の教科書(2021)』では、六法をそれぞれ擬人化し立ち絵イラストにしたうえでその説明を立ち絵の脇に書くという表現が用いられている。ここから、実態を持たない概念をイラスト付きで説明するという事が女児本シーンで流行していたとわかる。

コラム 人の認知処理の方略

熊谷(2018)の学習障害関連書籍にも擬人化立ち絵と同様の手法が登場する。ケースワーク一つ一つについて、「数処理が苦手なA君」「小さい数の計算が苦手なBさん」などと意味のない立ち絵が用意されている。

三末(2021)によると、「記述言語で書かれた文を読むときには、文字→単語→文→文章というように理解が進むのに対して、視覚的表現の場合には、全体の概形→部分→詳細というように理解が進む」としている。

もし、学習障害関連書籍にこの手法を用いたことに児童生徒への発達心理学的な効果があるとするならば、細かく順序良く処理する必要がある文章の横に自然と全体を俯瞰してみることになる立ち絵イラストがあると認知的負荷が軽減され、読みにくさのある児童への配慮として機能すると考えられる。

シーンの拡張②

学習漫画を取り入れた表現

 2022年『自分をもっと好きになる【ハピかわ】かわいいのルール(2019)』及びハピかわシリーズが大ヒットした。しかし、この本は女児本と同じ棚に排架されるものの既存の女児本シーンとはかなり異なる性質を持っている。というのも、漫画表現と同じ右綴じであり、登場人物紹介が最初にあり、チャプター毎に挿入される漫画で登場人物の成長が描かれ、既存の女児本のような名前や設定の無い使い捨てのキャラクターは登場しない。きわめつけは、漫画を読むサイトでこの本が登録されている。つまり、このシリーズは漫画の影響を強く受けた女児本と言える。吉川厚(2005)によると物語を表現できる学習漫画の表現を用いてOJT教材を作成すると、知識を「いつ」「どのように」用いるかという実践力が身につく(ナラティブアプローチ)としている。女児本とマンガとを組み合わせたはぴカワシリーズはこの性質を利用して漫画表現を取り入れて女児本シーンを拡張したと言える。
 興味深い実践として、女の子のトリセツ(2018)シリーズが挙げられる。この本では、漫画表現を取り入れているが、ハピかわシリーズとはその扱い方が異なる。ハピかわシリーズでは、苦手なことが多い主人公が友人に教えを乞いその友人の解説が女児本の表現としてまとめられ一連の流れで漫画パートと女児本パートが構成されている。 しかし、女の子のトリセツシリーズでは、漫画表現は児童の日常生活における困り感やその場面を表現することにとどまり先生役となるキャラは登場しない。その困り感を解決するために名前の無いキャラやなどが出てくる群像的な解説が女児本の形式でなされる。つまり、漫画パートと女児本パートに物語的な関連性は存在しない。 そして、漫画に登場するキャラクターには主人公と言えるようなキャラは存在せず、キャラクターの成長は取り沙汰されない。つまり、女の子のトリセツシリーズはハピかわシリーズよりかは漫画の影響が弱く、女児本的性質が強いという事が言える。


シーンの拡張②

はぴカワの大ヒットの裏には?

 2022年『自分をもっと好きになる【ハピかわ】かわいいのルール(2019)』及びハピかわシリーズが大ヒットした。しかし、この本は女児本と同じ棚に排架されるものの既存の女児本シーンとはかなり異なる性質を持っている。


マンガ表現を取り入れた女児本

 マンガ表現と同じ右綴じであり、チャプター毎に挿入される漫画パート(全体の約15%ほど)で登場人物の変化や主人公の成長が描かれ、既存の女児本のような名前や設定の無い使い捨てのキャラクターは登場しない。そして、漫画を読むサイトでこの本が登録されている。ただ、解説がなされる女児本パートではカラフルなデザインが施されていて、実践的な内容を伝えるという点は女児本と同じである。つまり、このシリーズは漫画の影響を強く受けた女児本と言える。

 

物語を通じて知識を身に着ける

 吉川厚(2005)は物語を表現できる学習漫画を用いてOJT(On the job trainig)教材を作成すると、知識を「いつ」「どのように」用いるかという実践力が身につくとして、学習漫画の教材としての有用性を指摘している。このことから、マンガ表現を取り入れたはぴカワシリーズは漫画による物語性の付加を行って女児本シーンを拡張したと言える。


 西東社の女の子のトリセツ(2018)シリーズも、右綴じで漫画表現を取り入れているが、ハピかわシリーズとは漫画の扱い方が異なる。

 

 

ハピかわシリーズでは、苦手なことが多い主人公が友人に教えを乞いその友人の解説が女児本の表現としてまとめられ一連の流れで漫画パートと女児本パートが構成されている。 しかし、女の子のトリセツシリーズでは、漫画表現は児童の日常生活における困り感やその場面を表現することにとどまり先生役となるキャラは登場しない。その困り感を解決するために名前の無いキャラやなどが出てくる群像的な解説が女児本の形式でなされる。つまり、漫画パートと女児本パートに物語的な関連性は存在しない。 そして、漫画に登場するキャラクターには主人公と言えるようなキャラは存在せず、キャラクターの成長は取り沙汰されない。つまり、女の子のトリセツシリーズはハピかわシリーズよりかは漫画の影響が弱く、女児本的性質が強いという事が言える。