エセ科学からエンターテインメントに?
女児本のテーマとして人気なものに、「心理テスト」や「心理ゲーム」がある。心理、テストと言っているが、心理検査とは全く意味が異なる。心理検査は統計的な裏付けがあるが、「心理テスト」では読者に選択肢が与えられ、選んだものに対応する根拠のないコメントが書いてあるだけである。「心理テスト」はポピュラー心理学の一種であり、エセ科学として批判の的になることが多い。
生年月日や血液型など変えられないもので結果が決まるのが占いである。
似た表現に「心理クイズ」と言うのは正解があってその正解は心理学的な根拠がある程度ある。
あかね書房『みんなで遊ぼ! 心理ゲーム(2021)』および同社同年の『~パーフェクトDX』では、ページを順に読み進めるわけではなく、主人公のおかれる状況がイラスト付きで説明されたのちに、主人公の行動を選択肢の中から選び、指定されたパラグラフに移動して読むようになっている。最終的に読者の心理の診断がなされるという仕組みだ。 これは80年代から90年代に流行した「ゲームブック」という主人公の選択をもとに物語が展開する本と同じ仕組みになっており、それを取り入れた表現だと考えられる。ページを跨いで話が展開するものの1つ1つの診断は4ページほどと短く、名前のあるキャラも出てこない。この本はゲームブックを踏まえて女児本シーンを拡張したと言える。
TRPGを取り入れた表現?
近藤(2023)によると、『火吹山の魔法使い(1984)』がゲームブックの源流であり、それは『ダンジョンズ&ドラゴンズ(1974)』の楽しさを本として実現させようとした。とある。つまり、現代の女児本にはD&DをはじめとするTRPGの影響が残っていると言える。
コラム:女児向けゲームブックが無いのは嘘?
女子児童向けのゲームブックはポプラ社『にゃんたんのゲームブック(1987)』や角川つばさ文庫『バニラのお菓子配達便!~スイーツデリバリー~(2010)』など非常に数が少なく、入手困難と評されているが、先に紹介した本に加えナツメ社『心理テスト大集合スペシャル!(2022)』にもゲームブックパートが挿入されており、これは現在でも入手が容易となっている。人気に陰りが見えると言われているゲームブックの手法も女児本シーンで未だに現役と言える。
ブログやチャットアプリを取り入れた表現
新星出版社『韓国スターが推せる!かわいい韓国語BOOK(2023)』では、交互に配置される顔のイラストと吹き出しで会話を表す表現が見られる。
韓国語ってイマドキだなー 私もkpopアイドルとかついみちゃう。
それとこの吹き出しの感じ、ウェブサイトやブログでみたことあるよ。
これは、2010年代にCSSやHTMLを編集したり、テンプレートで追加されたりして、ブログで流行った形式なんだよ。
LINE(2011)にも似てるよね。
そうなんだ。ブログやチャットアプリに影響を受けているんだ。途中に画像を入れたり、吹き出しや文字に色彩を加えたりできるから拡張性がある。
誰がしゃべってるか一目瞭然だし、表情が変われば心情もわかるのが好きだな。
縦スクロールに向いた表現だけど、本でも便利だね。 縦幅に制限があるから、会話よりかは、少しの補足をするのに使うのにはもってこいだね。