このドリルはそれまでの常識の基準というか、ハードルを3つくらい越えてきてると思うんですよね。
とうんこドリルの作者古屋(2017)は語る。うんこ漢字ドリル以前と以後では自学のためのドリル教材の性質が変化した。そのハードル3つとは何なのか考えていく。
テーマやコラボIPの自由度を上げた
うんこという下品なユーモアと勉強とを組み合わせたことは過去になかったこと。うんこというテーマで大ヒットが起きるなら他のテーマにも商機があると考えられるようになった。とくに過去には敬遠されがちであったキャラ重視でないゲームIPやYouTuberと組み合わせるようなドリルの発売が見られるようになった。KADOKAWA『入学準備ドリルマインクラフトこくご・さんすう・せいかつ(2025)』や講談社『まいぜんドリル(2025)』などはその一例である。
例文やテキストの自由度を上げた
既存のスヌーピーの漢字ドリル、教育同人社『くりかえし漢字ドリル(2023)』ではスヌーピーのイラストは用いられるものの、スヌーピーに関連した例文が用いられることはなかった。しかし、うんこ漢字ドリルでは全ての例文にうんこが使われている。これにより、ドリルの問題文や例文・テキストのデザイン空間が発見され、例文やテキストの自由度があがった。例えば、文響社『妖怪ドリル(2025)』では全ての問題文に妖怪が登場する。また、この拡張はのちに紹介するアドベンチャードリルというジャンルを生んだと考えられる。
デザインの自由度を上げた
うんこ漢字ドリルは学習者が書き込みをする正方形や波括弧の枠に、うんこのデザインがあしらわれている。うんこのテーマを表現するのにデザインを用いることができるという発見をしたのである。この拡張でドリルに関してデザインの深化が起きた。例えば、小学館『ポケモンずかんドリル(2023)』ではポケモンの世界観に合わせてページ番号にモンスターボールのデザインが施され、ページ番号も「バトル1」「バトル2」というふうに振られている。
コラム:ドリルにテーマを取り入れる教育的効果
算数では、数詞・数字・具体物を関連付けられるようになることが求められる。その際に、具体物をマインクラフトのアイテムにするなど、学習者のなじみ深いもの、好きなものを使う事で取り組みやすくすることができる。
漢字・英単語学習や文章読解で、学習者が興味を持てるような例文を用いることで主体性をもって学習することができると考えられる。