当サークルの前作「さんぷるキューブ(2022)」では女児本に用いられる名前の無いキャラをサンプリングして、キューブドラフトを説明するため分解したイラストを異なる文脈にて再構築した。今回の本でもシール付きドリルに、一枚絵を分解、再構築するアイデアを取り入れられていると紹介した。このアイデアは表現として様々な効果があり非常に奥深い。
この既存のものを分解したのちに、再構築して、何かを作るということにはどのような性質があるか、また何が出来るのかという事を挙げる。
脱文脈
分解をすると、最初の作者が意図した文脈が薄まる。ドラゴンドリルに当てはめると、ドラゴンの1枚絵をを9等分にした1枚のシールだけでは意味が分からない。この性質を利用してシールをイラスト完成のためのトークンにすることが出来ている。
有効感の付加
分解されたものを自らの手で再構築をすると対象を「自分のものである」という心理的結びつきが強くなる。 ドラゴンドリルにあてはめると、ふういんページの最後のシールを張り付け絵が完成した際には、1枚の大きなシールを貼るより思い入れが深まる。
意図の付加
分解されているものを自分の手で選んで再構築をすると、それだけで製作者の意図が加わり、立派な創作物となる。「さんぷるキューブ」の内容と関連付けると、キューブ製作者がカードを集めて、カードゲームのルールに則ってプレイするだけで自分だけのゲームが作れることに注目した。
認知的負荷の軽減
分解されているものを再構築すると、細部の調整の困難が減る。例えば、着せ替えシールに当てはめると、素体があるタイプの着せ替えシールではキレイなコーディネートにするには細かな位置調整が必要だが、紹介したサンプリングタイプの着せ替えシールではガイドに沿えばキレイなコーディネートを簡単に作れる。
包摂
分解されているものを再構築すると、一貫したテーマを持たせることは難しく、どうしても群像的なものになりがち。そのため、ちょっと異質なものも包摂しやすい。女児本にあてはめると、1見開きごとに独立性が高いので、編集を行い異なる章で全く異なるテーマを扱っていても違和感がない。